拗らせDKの偏った溺愛
とりあえず、この太っちょの望みは俺を痛めつけることらしい。
ただ、そんな望みを「はいそーですか」と言って叶えてやるほど、俺は優しくない。
最悪、人質状態の美咲を逃すのに、この太っちょの願いを叶えてやるしかないとして…。
まず、寄せ集めの戦力っぽい奴らは全員倒し終わっている。
人数がいたのもあって遠慮なく急所を狙ったし、そんなにすぐには起き上がってこないと思う。
太っちょも大したことなさそうだから、万が一こいつに殴られてもどうってことないだろう。
問題はあの薄ら笑いのヤロー、裕司とか呼ばれている男だ。
あいつ、すげー強いんじゃねぇか?
なんていうか、隙、みたいなものが感じられない。
代わりにあのヤローの後ろにいる美咲は隙だらけだけどな!!!
ったく、あいつはマジでなにやってるんだか…。
とりあえず、美咲も一応空気を読んでいるらしい。
太っちょはもちろん、美咲を連れてきたであろうあの薄笑いヤローも、今のところ美咲を盾に何かしようとする感じではない。
であれば、このまま裕司ってやつと一対一でやり合えば…と思ったけど、最初の一撃を受けて思った。
こいつ、マジで強い…!!!
油断するとやられるかもしれねぇ…。
できればこいつを倒して、さっさと美咲を連れて退散したかった。
でも、それにはちょっと時間がかかりそうだ。
今日は体育祭。
美咲のバカがあんなにがんばって準備してたんだし、俺はともかく美咲を遅刻させたくない。
しょうがない、ダメ元で聞いてみるか。