拗らせDKの偏った溺愛



とりあえず、この太っちょの望みは俺を痛めつけることらしい。

ただ、そんな望みを「はいそーですか」と言って叶えてやるほど、俺は優しくない。

最悪、人質状態の美咲を逃すのに、この太っちょの願いを叶えてやるしかないとして…。

まず、寄せ集めの戦力っぽい奴らは全員倒し終わっている。

人数がいたのもあって遠慮なく急所を狙ったし、そんなにすぐには起き上がってこないと思う。

太っちょも大したことなさそうだから、万が一こいつに殴られてもどうってことないだろう。

問題はあの薄ら笑いのヤロー、裕司とか呼ばれている男だ。

あいつ、すげー強いんじゃねぇか?

なんていうか、隙、みたいなものが感じられない。

代わりにあのヤローの後ろにいる美咲は隙だらけだけどな!!!

ったく、あいつはマジでなにやってるんだか…。


とりあえず、美咲も一応空気を読んでいるらしい。

太っちょはもちろん、美咲を連れてきたであろうあの薄笑いヤローも、今のところ美咲を盾に何かしようとする感じではない。

であれば、このまま裕司ってやつと一対一でやり合えば…と思ったけど、最初の一撃を受けて思った。

こいつ、マジで強い…!!!

油断するとやられるかもしれねぇ…。

できればこいつを倒して、さっさと美咲を連れて退散したかった。

でも、それにはちょっと時間がかかりそうだ。

今日は体育祭。

美咲のバカがあんなにがんばって準備してたんだし、俺はともかく美咲を遅刻させたくない。

しょうがない、ダメ元で聞いてみるか。



< 189 / 251 >

この作品をシェア

pagetop