拗らせDKの偏った溺愛



「美咲は1年生の時にクラスも離れてたし、二人とも学校をサボりがちだったから姿を見かけることも少なかったかもね〜。だから美咲が知らなくても仕方ないかもね」


なんて言っていた綾乃ちゃんですが、その直後に見た、新学年のクラス分けが張り出された掲示板の前で


「きゃ〜〜〜!!!」


と喜びの叫び声をあげていたことからすれば、何も知らなかった私と違って、綾乃ちゃんはあの二人のことを以前からよく知っていたのでしょう。


「美咲、すごい!すごい!!私と美咲が同じクラスなこともすごいけど、竜虎の二人と同じクラスだなんて奇跡的!!」


そうです、中学が同じだった綾乃ちゃんとは1年生では違うクラスだったのですが、なんと2年生は同じクラスになれました。

私はそれだけで十分嬉しいのですが、綾乃ちゃんにとってはあのリュウとトラ=竜虎のお二人と同じクラスであることも相当嬉しいことらしく…。

親友が嬉しそうだと、私も嬉しくなってしまいます。


「仲良くなるチャンスだ〜〜!」


と飛び跳ねる勢いで教室に向かっている綾乃ちゃんの後を、私も足早について行きました。



2年生の教室に入ると、先に来ていた竜虎のお二人が女の子に囲まれています。


「ねぇねぇ、リュウくん、トラくん、私と連絡先交換しよ〜」


「虎谷くんの髪、地毛なの?」


雨のように降り掛かる質問に丁寧に答える虎谷くんはサラサラの髪が嫌味のない茶色です。

さらにそれに色白の肌と明るい瞳の色が相まって、まさしく絵本から飛び出してきた王子様のような容姿です。

その虎谷くんとは対称的に、さもメンドくさそうな顔をして素っ気なく返事する高村くん。

彼は先程遠目から見ても目立っていたアッシュグレーの髪です。

それもかなり目立つ色合いで、ともすればシルバーに見えなくもないです。

柔和な顔立ちの虎谷くんと違って切れ長の二重にスラリと通った鼻筋のシャープな顔立ちです。

綾乃ちゃんや他の女の子たちが騒ぐのも頷けるほど、お二人とも整った顔をされています。

そろって身長も180cmはありそうですし、オーラというのでしょうか、何かキラキラしたものに包まれているように見えなくもないです。



< 19 / 251 >

この作品をシェア

pagetop