拗らせDKの偏った溺愛
「あ〜、アンタと決着つけるのはいいんだけどさ、今度じゃダメかな?」
「ほぅ、それはまた急にどうして?」
即答で断られるかと思ったけど、そうじゃなかった。
もしかして、これはイケるかも?
「いやぁ、アンタ強そうだからさ。決着つくのに時間かかりそうだろ?俺、今日は今から大事な用事があるんだよね」
「…」
俺の言葉に、無言で探るような目つきを向けてくる。
もし俺の推測が正しければ、さっきコイツが自分で言っていたように、太っちょのいざこざを見守るのがコイツの役目であって首を突っ込むのは相当マズイはずだ。
だとすれば、俺と殴り合うのを避ける理由があれば、それに乗ってくるはず。
一瞬の沈黙がとても長く思えた瞬間だった。
「裕司っ!なにやってる!!さっさとやっつけろよ!!!僕も加勢してやる」
バカ太っちょが転がっていた金属の棒を俺めがけて投げつけてきた。
チッ!
もうちょっとでうまくいったかもしれねぇってのに、バカはほんとに余計なことしかしねぇ!!
金属棒を避けた俺だったが、そこに裕司ってやつの容赦ない一撃が入った。
咄嗟にガードした腕に力を込めたが、さすがにタイミングが間に合わず、強烈な蹴りを脇腹にくらった。
「ぐっっ」
ってぇ〜〜〜
必死に痛みに耐えていたら
「竜也くんっ!!」
っていう美咲の声。
あ〜〜〜、ここにもう一人のバカがいた………。