拗らせDKの偏った溺愛


「ち、ちょっと待ってください!」


勇気を振り絞って大きな声を出しました。

途端にお三方がバッとこちらを振り向かれたので、思わず怯みそうになりました。が、ここで引っ込むわけにはいきません。

グッと拳に力を入れるとお腹に力を入れてなるべく大きな声で言いました。


「わ、私、帰らせていただきます!!」


ものすごくいいアイデアだと思って言ったのですが、まさかの竜也くんまでほかのお二人と一緒に


「「「はぁ?」」」


って。
ひどくないでしょうか・・・。


「ぶ、部外者の私がいるせいで、竜也くんの立場が悪くなるというのであれば、それはフェアではありません。ですので、私、帰らせていただきます!」


そう言ってクルリと体を反転させて、出口に向かって歩き始めました。

1歩、2歩、と順調に歩き出し、5歩、6歩といったので、このまま出口から出ていけると思っていたのに・・・


「こんの~~~!!!なめてんじゃねーぞ!くそアマがっ!!!」


と言うおぼっちゃまの怒号が後ろから聞こえたかと思うと、ドスドスという重量級の足音が背後に駆け寄ってきました。

危険を感じて振り返ると、色白な顔を真っ赤にしたおぼっちゃまが、頭から湯気が出そうな勢いでこちらに向かってくるではありませんか!?

ど、どうしましょう!?

逃げる?
なにもしない??
それとも、迎え撃つ???


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