拗らせDKの偏った溺愛
そ、そうです。
迎え撃つ!
私には、その選択肢もありました!!
あの裕司さんという方が相手では分が悪いですが、このおぼっちゃまであれば、私でもなんとかなりそうです。
私のことさえ気にならなければ、竜也くんが一方的に痛めつけられたりすることもないのですから、その手段はなんだっていいはずです!
先ほどまでは、何をどうすればいいのかわからず、ただここからいなくなることばかり考えていましたが、心が決まった今、私の気持ちはとても静かで落ち着いています。
「すぅー、ふぅー」
闘いに入る前の呼吸を一つすると、私の思考はとてもシンプルでクリアになりました。
自然と体も相手を迎え撃つ体制に入ります。
おぼっちゃまが目の前までやってきて、そのふくよかな拳を力いっぱい握りしめ、腕を振り上げました。
「美咲!!」
竜也くんが焦ったように私を呼ぶ声が聞こえますが、申し訳ありません。
今しばらくお待ちください。
この方をなんとかできたら、すぐに馳せ参じますので・・・。