拗らせDKの偏った溺愛


すると俺のすぐ近くからも


「はぁ~~~」


という長い溜息が。

ふと、ため息の主を見上げると、しわを寄せた眉間に手を当ててうなだれていた。


「裕司さん、だっけ?マジでお疲れサマ」


俺が同情をたっぷり込めて言うと、


「うん・・・ほんとにね。もう・・・」


と言ったきりだ。

まぁ、ねぇ・・・。

俺がこの人の立場でも、目の前の光景に言葉をなくすっての。

美咲の方へ視線をやりつつ、


「あんたとは、喧嘩とかじゃなく真剣にやりあってみたいけどさ。俺今日は大事な用事があるんだよ」


と言ってみた。

これは俺の正直な気持ち。

この人、ホントに強そうだからな。

一度でいいから手合わせしてもらえたら、俺、もっと強くなれそうな気がするんだよな。


「ふっ、東のリュウにそう言ってもらえるとは光栄だね」


意外にも柔らかい笑い声とともに返事が返ってきたので、美咲から裕司さんに視線を戻すと、結構ニヤッとした顔で俺のことを見ていた。


「チッ!その呼名やめろよな。恥ずいっての」


マジで言ってんのに


「クククッ、似合ってるぜ」


なんて言われた。マジで勘弁してくれ。

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