拗らせDKの偏った溺愛


いよいよです!!


『次は、男子・障害物競走です』


放送委員によってアナウンスが流れると、歓声が上がりました。


『障害物競走に出場するみなさんの入場です』


落ち着いた女生徒の声が、ほかの競技同様、粛々とアナウンスを続けておられます。

参加者が入場門から指定された場所まで歩いて行く間、入場に合わせた明るい曲が流れ、競技内容が紹介されています。

普通なら、それを聞きながらみなさんがワイワイと話していたり、個別に声援を送ったりされるのですが、今回だけは違いました。


「「「きゃ~~!!!竜也く~ん♡」」」


黄色い声援がものすごいです。

そして、


「お、おい!竜也さんだぞ!」

「マジでこれに出るんだな!」

「すげぇ」


という低い声のざわめきも相当数あります。

見ると、出場者の一群の中にいても一目でわかるオーラと容姿の竜也くんが。

遠くからでもわかるスラリとした長身、御日様の光を浴びてキラキラ煌めく銀色の髪。

たとえその歩き方がダルそうでも、どうしてだか目がひきつけられてしまいます。

グラウンドには障害物競走の第一形態が準備万端で待ち構えています。

心なしか緊張の面持ちをした出場者の集団の中では、ダルそうにしている竜也くんはとても異質な存在なのですが、どうしてか、竜也くんならやってくれそう、という期待を抱かずにはいられません。

ほんとうに不思議な方です。



< 205 / 251 >

この作品をシェア

pagetop