拗らせDKの偏った溺愛


かなりの不安がよぎっていたのですが、いざ競技が始まると、竜也くんは目を疑うような活躍ぶりです!!

入場までのダルそうな感じですとか、スタート前のお怒りな雰囲気は全くなく、最初のハードルを綺麗なフォームで飛び越えられました。

そのあとのハードルもテンポよく越えられて、私の目の前もあっという間に通り過ぎて行かれました。

どうやら先ほどの竜也くんは私の見間違いか勘違いだったようです。


「藤原さん!」


隣にいた方に声をかけられてハッと我に返りました。

いけません、私は今、黒子役でここにいるのです。

障害物競走も最後なのですから、スムーズに進むよう尽力しなくては!!

全員がハードルを終えたのを見届けて、私は大急ぎでハードルを片付けに向かったのです。

その間も、歓声だけでなくどよめきが聞こえてきます。

気になって思わずグラウンドを振り返ると、ダントツで先頭を走る竜也くんが、平均台の上を、まるで地面を走るかの如く通り抜けたところでした。

そして、そのままありったけの段を積み重ねた跳び箱へ向かうと、何の溜めもなくドンッと踏み切り板に足を乗せ、そのままポンと、それはもう軽々と、目一杯の高さに積み上げられた跳び箱を飛び越えてしまわれたのです。


「「「ぎゃ~~~!カッコよすぎ!!!」」」

「「むり!もうこれ以上見てられないくらい凄すぎる」」

「すげぇ、なんであれをあんな軽々飛べるんだ?」

「いやいや、その前の平均台の上を全力疾走もおかしいだろ」

「どんな身体能力してんだよ・・・」


これは歓声もどよめきも起こって当たり前です。


「すごい・・・」


私も思わず声に出して呟いてしまいました。




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