拗らせDKの偏った溺愛
そのあと、ハッと気を取り直した私は、慌てて土嚢を運びに行ったので見ていませんが、その後も歓声とどよめきがとどまるところを知らない状態なのは、きっと竜也くんが理由なのだと思います。
それにしても、最後の土嚢は重いです・・・。
もちろんどれも同じ重さなのですが、疲労がピークにきているのか、腕に力が入りません。
足も思うように動かず、自分でもヨロヨロしているな、とは思いながらも、今までとは異次元の速さで土嚢のコーナーに差し掛かろうとしている竜也くんの邪魔にだけはならないように、と、大急ぎで土嚢を運びました。
なんとか土嚢を定位置において脇に移動しようとしたのですが、重量のあるものを手放せたからか、最後の仕事を終えた安堵感からか、足の力が思うように入らず、こともあろうか、隣の土嚢につまずいて転んでしまったのです。
「痛ぁ・・・」
今日は動きやすさを重視してハーフパンツにしていたのが仇になりました。
けっこうな勢いで膝をついてしまったので、グラウンドの土に激突した膝がジンジンします。
でも!大変です!!
もうそこまで竜也くんが来ているのに!!!
早くここからどかなくては・・・!!!!!
焦る気持ちとは裏腹に、体が思うように動いてくれません。
見る気はありませんでしたが、勝手に視界に入った自分の膝にはしっかりと血が滲んでいます。
それを無視して、なんとか目の前の土嚢にしがみつくようにして上半身を起こした時でした。