拗らせDKの偏った溺愛
イライラがピークに達したときに、美咲と目が合った。
けど、もう競技が始まるから我慢だ、俺。
代わりに速攻でこの競技を終わらせて説教することにしよう、と思ったとき、
パァン
スタートを知らせるピストル音が聞こえてきた。
美咲の説教を決めた俺にとって、目の前の競技はさっさと終わらせるもの以外のなにものでもない。
久しぶりに全力疾走したけど、ちょうど工場での喧嘩がウォームアップ代わりになっていて調子がいい。
ハードルは授業でしかやってないけど、サッカーは小学生の頃に結構がんばったからドリブル走は今でも慣れたもんだ。
そんな感じで次々に障害物をクリアしていくのは、すごく気持ちよかった。
こんな感覚、ずっと忘れてたな・・・。
そんなことを思いながら、両腕を拘束して走るなんていう鬼畜な部分を走っていた俺の目に飛び込んできたのは、次の土嚢のゾーンですっころんで膝から派手に血を流す美咲の姿だった。
あいつ~~~~~!!!!!
なに勝手にケガまでしてんだよ!