拗らせDKの偏った溺愛
無事に体育祭終了?
障害物競走の結果
〈美咲です〉
気づけば土嚢はなくなり、私は救護用のテントにいました。
もちろん、竜也くんが運んできてくださったからです。
「おい、コイツの傷の手当、頼んだぞ」
乱暴な言い方をしているにもかかわらず、私をパイプ椅子に下ろすのはそっと優しく、でした。
「おい、美咲。俺が迎えに来るまでここでおとなしくしとけよ」
そう言いながらパイプ椅子に腰かけさせた私の顔をのぞき込んだ竜也くんと目が合った瞬間でした。
ボッ!!
ふいに火がついたかのように、私の顔に熱が集まってきたのです。
慌てて
「は、はい!!」
とごまかすように返事をすると、
「よし、いい返事だ」
そう言って私の頭にポンと手を置くと、サッと元来たグラウンドへ戻って行かれました。
キャーキャーと騒ぐ救護班の方の声を遠くに聞きながら、竜也くんの後姿を見送った私は、なかなか収まらない顔の熱を持て余すしかありませんでした。