拗らせDKの偏った溺愛
障害物競走の行方はと言いますと。
竜也くんが救護用のテントからグラウンドに戻った時には、すでに2人が最後の風船コーナーを走り始めていました。
それ以外の方もそうですが、みなさん息切れもすごくて、土嚢を置いてから風船をもらうまでの間もふらふらしていらっしゃいます。
それなのに、竜也くんはしっかりとした足取りで風船を受け取りに行くと、そのまま疾走し始めたのです。
すごい体力です。
あの工場での喧嘩というか乱闘は、彼にとってはほんとうにたいしたことのない出来事だったのでしょうか。
先頭を走っている男子生徒は、比較的スムーズに走っていらっしゃいますが、このコーナーは意外と距離があるので、もしかするともしかするかもしれません。
私を救護テントに連れてきてくださった優しい竜也くんが、私のせいでせっかくの1位を逃されることがありませんよう・・・私は祈るような気持ちで竜也くんの後姿を見つめました。