拗らせDKの偏った溺愛

〈美咲でございます〉


体育祭はかつてなく盛り上がっています。

もちろん、なんといっても障害物競走の竜也くんがすごかったからですが・・・。

竜也くんに関しては、彼とクラスが同じだとかそういうレベルでの応援ではなく、学校中が一つになって応援しているように思えました。

どうりで去年は普通の体育祭だったわけです。

もし参加されていたなら、嫌でもこの騒ぎを目の当たりにしたでしょうし、竜虎のお二人の存在も認識したはずです。

ともあれ、私の膝のケガも、大きなガーゼを貼って治療していただきました。

そして、竜也くんに言われた通り、救護テントで竜也くんが来られるのを大人しく待っていました。

竜也くんは最後の最後に先頭を走っていた方を交わし、1位になられての凱旋です。

ほんとうにすごかったですし、私のせいで1位の座を逃さなくてよかったです。

だれもがすごいと思う内容と結果を残された彼から、周囲が目を離すわけがありません。

競技が終わった後も、グラウンドから出てこられた後も。大勢が見守る中を、堂々と救護テントに戻って来られたかと思うと、


「お前、今日はもう応援席でじっと座ってろ」


という無茶をおっしゃるのです。


「そういうわけには・・・。実行委員には後片づけもありますので」

「あぁ?俺が言うことには?」

「ひっ!は、はい!」

「そうそう、それでいいんだよ。後片付けなんか他の実行委員にやらせとけ。文句言うやつがいたら俺に言え」


うぅ・・・お返事が”はい”しか言えないのは辛いです・・・。



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