拗らせDKの偏った溺愛


「で?歩けるのか?」


思わぬ質問にびっくりしてしまい、お返事がワンテンポ遅れてしまいました。


「なんだ?無理ならまた抱えて」

「だ、大丈夫です!!!歩けます!!なんでしたら走れますから!」


先ほどのことを思い出して、また顔が熱くなってきました。

また抱きかかえられるなんて、恥ずかしすぎて無理です!


「ふ~ん、ならいいけど」


不思議そうに言われましたが、そんなことを気にしている場合ではありません。


「けど、なんか顔が赤いぞ?熱中症とかじゃないだろうな?」


竜也くんがそう言った後に私の顔に影がかかりました。

コツン

気づけば腰をかがめた竜也くんの綺麗な顔が私の目の前にあり、後頭部に回された彼の手によって引き寄せられた私のおでこが彼のおでこと軽くぶつかっていました。


「熱はなさそうだけどな」

「な、なななな・・・!!!」

「はぁ?なんだよナナナナって。誰か友達のこと呼んでるのか?」


私の後頭部を解放しながら、ご自身も離れていきつつ、怪訝な顔をされています。




「ち、違います!か、顔!顔が近すぎて・・・」

「なんだそんなことか」


必死で抗議しようとした私の言葉を遮ると、なんてことのないように言われてしまいました。

こうなってはこれ以上言いづらいです。


「もういいです・・・」


そう言うしかありませんでした。

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