拗らせDKの偏った溺愛
当然、この一部始終を見ていらっしゃった方は一人や二人ではありません。
竜也くんの一挙一動に、周囲からは悲鳴や質問、抗議やお願いの声がたくさん上がっています。
当のご本人は知らん顔ですが・・・。
とうとう我慢できなくなったご様子の先輩がお一人、竜也くんの腕を取って質問してこられました。
「ねぇ、リュウくん。さっきからこの子のこと、やたらと構ってるけど、もしかしてリュウくんの彼女なの?」
この質問に、先ほどまで賑わっていたテントの周りが一瞬でシーンとなりました。
固唾をのむ周囲。
いつも通りの竜也くん。
「はぁ?先輩、なに言ってんの?コイツが俺の彼女なわけねーだろ」
「そうなんだ!」
竜也くんの返事にパッと顔を輝かせる先輩と、歓声が上がるテントの周囲。
かくいう私も、もちろん彼女などではございませんので、先輩の質問には驚きましたし、竜也くんのお答えにも納得です。
「でも、それじゃあ、どうしてこの子にこんなに構うの?」
「コイツが役に立たないと、俺が不便だからに決まってるし」
確かにその通りだと思います。なんといっても下僕ですから。
そんなやり取りをしているところへ、少し離れたところから成り行きを見守っていた虎谷くんが声をかけてこられました。