拗らせDKの偏った溺愛
〈美咲です〉
障害物競走を堂々の1位でゴールしただけでなく、参加者48人全員のスタートからゴールまでにかかった時間を測定した結果の順位でも1位だった竜也くん。
それなのに救護用のテントでは、虎谷くんの意味深発言のせいで泣いてしまってお話にならない女の子でいっぱいになってしまいました。
竜也くんにはどうして女の子たちが泣いてしまったかサッパリ理解できないのもあって興味がないご様子。
「おい、美咲、昼飯!」
と、余計にショックと誤解を上乗せするようなセリフとともにテントから出ていかれました。
私はというと、竜也くんが言うことには
「はい!」
しか言えませんので・・・、恐る恐るながらも竜也くんの後を追うようにしてテントから離脱したのでした。
テントの外は中と違って男子がいっぱいでした。
「竜也さん、めちゃくちゃすごかったです!」
「憧れるっす!」
男の子たちは興奮冷めやらぬ様子で、口々に褒めたたえているのですが、竜也くんはというと、
「サンキュ~」
とか
「はいはい、どーも」
と、あっさりしたものです。
私は、その後ろを息を潜めるようにしてついていきました。