拗らせDKの偏った溺愛


クラスごとに分けられた応援席に戻ると、私は竜也くんにお弁当をお渡ししました。

今日は体育祭実行委員としての仕事があれこれあるので、売店に行く時間が作れないかもしれないと思ったので、自分のお弁当を作るついでに竜也くんの分も作ってきていたのです。


「今日は弁当か?めずらしー」


竜也くんは少し驚かれた様子でしたが、私がお弁当にした理由を話すと、


「あっそ。けど、お前の実行委員の仕事はもうないから」


なんておっしゃるのです。

おまけに私が抗議の意味を込めて、すぐに返事をしようとしなかったので、


「そうだよな、お前!そうそう、お前。この前、美咲と顔突き合わせてしゃべってたお前だよ」


そう言って無理やり森本くんを捕まえると、


「美咲はもう十分実行委員の仕事をしたよな?だから後はもう何もしなくてもいいよな?」


と綺麗な笑顔でおっしゃるものですから、森本くんが真っ青になって


「も、もちろんです!!あとのことは僕が全部やっておきますので!!」


あぁ・・・ほんとうに申し訳ありません、森本くん。

心の中で謝りつつも、それ以外のみなさんが


「見て、委員長がリュウくんにお弁当渡してる」

「やっぱり付き合ってるんだ~」

「藤原さんのこと、もはや彼女を通り越して嫁って言ったらしいよ!」

「虎谷くんも公認の仲みたい・・・」

「あの地味子と竜也さんがって、マジなんだ!?」


ひそひそと話されているのが聞こえて、軽いめまいがしてきました。
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