拗らせDKの偏った溺愛
俺がイライラしていたからか、戻って来た貴紀に、
「竜也、せっかくのイケメンが台無しなくらい怖い顔してるよ?」
なんて言われた。
「悪かったな、人相が悪いのは生まれつきだ」
俺が吐き捨てるように言っても貴紀は気にもしない様子だ。
「はいはい、その”自称悪い人相”で新しいクラスの女の子たちを夢中にさせないでね。竜也に優しくされて勘違いした女の子たちのゴタゴタをなんとかするのはもう嫌だよ?」
おまけに説教だし。
「俺がいつ女に優しくした?女なんていつも勝手に近づいてきて勝手に騒いでるんだ。ほっときゃいいんだよ」
「はぁ〜、もうちょっとこう自覚っていうかさぁ…」
さらに説教されそうだし、ここはサッサと話題を変えとこう。
「それより、俺のクラスは?」
強引に話を切り上げたから不満気な顔をされたけど、無視だ無視。
「教室はどこ行けばいい?」
俺に聞く気がないと判断したのか、貴紀も諦めたらしい。
「竜也は3組。場所はA棟の2階だよ」
「お前は?」
そこで初めて貴紀がニコッと笑った。
「俺も竜也と同じクラスだった」
「マジか」
「2年連続同じクラスだね。よろしく〜」
貴紀と同じクラスだと何かと助かるし、今回のクラス分けは俺にとってラッキーだ。
「お〜、よろしく」
それから二人で新しい教室へと向かった。