拗らせDKの偏った溺愛

竜也


〈竜也〉


美咲の作った弁当を食べ終わって飲み物が欲しくなった俺。


「貴紀、飲み物買いに行くけどお前なんかいる?」


買ってきてやろうかと思って聞いたけど、


「僕もお茶が欲しかったところ。一緒に行くよ」


って言うから


「ん」


短く返事したのに合わせて立ち上がった貴紀と二人で自販機に向かった。


「ねぇ、竜也」

「なんだよ」

「竜也にとって、美咲ちゃんって本当はどんな存在なの?」

「本当はって・・・単に下僕って以外になにもないけど?」

「ほんとに?」


貴紀が意味深な顔をしながらグイグイ質問してくる。


「なんだよ、どういうことだよ?」

「ん~、なんて言うか、美咲ちゃんってば健気だよね。竜也の無茶なお願いにも嫌な顔一つせず、お昼どころか最近は毎朝毎晩、甲斐甲斐しく竜也のお世話をしてくれてるよね」

「だから?」

「うん、だから素直で健気でいい子だな~って。前髪が長くて分かり辛いけど、瞳も澄んでて綺麗でさ。きっとあと何年かしたらスラッとした綺麗な大人の女の人になるんじゃないかな」

「ふ~ん」


貴紀がいまいち何が言いたいか分からないが、美咲の前髪に隠れがちな目が綺麗なのは知ってる。


「竜也さ、美咲ちゃん、僕にくれない?」

「はぁ?」

「あんなに健気で一生懸命な子、今まで見たことない。僕、好きになっちゃったかも」


ニコッっと綺麗に微笑む貴紀。

誰が誰を好きだって?

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