拗らせDKの偏った溺愛
「これからはさ、もし誰かが美咲ちゃんのことをいじめようとしたら僕が守るよ。例え悪い奴に絡まれたとしても、僕が体を張って守る」
「マジで言ってんの?」
「うん。だから、美咲ちゃんを竜也の下僕から解放してよ」
貴紀は俺の大事な友達だ。
好きな女ができたんなら、全面的に協力したい。
「わかった」
「え?」
「下僕から解放してやるよ。俺の下僕としてのあいつの最後の仕事は、空になった弁当箱を受け取ることにする」
「ほんとにいいの?」
「自分から頼んだくせに、なんでそんなに驚いてんだよ」
「いや、竜也がそんなにアッサリ美咲ちゃんを手放すとは思ってなくて・・・」
「別に。もともと大した理由でもないのに俺が面白がって下僕にしてただけだし?お前がマジであいつのことが好きなんだったら、そんなのお前もあいつも困るだろ?まぁ、男の俺から見てもお前はカッコイイと思うようなやつだからな。美咲もお前が好きだって言えばすぐに落ちるんじゃねぇか」
俺が笑ってそう言えば、貴紀の目がスッと細められた。
「ふーん、そうくるか。じゃあ、僕も遠慮なく、本気でいかせてもらうからね。後で後悔しても知らないから」
ちょっと低めの声でそう言うと自販機にコインを投入し始めた。
なんで怒ってんだ???