拗らせDKの偏った溺愛


結局、美咲と美咲以外の女の違いは答えられないまま、というか、言葉に出して言ってしまうと、もう自分の気持ちが止まらなくなりそうだったから答えられなかった。

美咲はもう貴紀のものなんだし、いまさら俺がとやかくいう資格なんてない。


なんとも言えない気持ちを抱えた俺をよそに、体育祭は午後の部が始まった。

始まったけど、悶々としながらだから、いまが何の競技かなんてぜんぜん見ていなかった。

ぼんやりグラウンドを視界に収めていたら、突然、グラウンド全体が大歓声に包まれた。


「なんだ?」

「リュウくん!トラくんが出るよ!」

「虎谷さんがでる借り物競争が始まるんです」


なるほどね。それで女のキャーキャー言う声がすげーのか。

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