拗らせDKの偏った溺愛


借り物競走が始まった。

貴紀は2番目のグループらしく待機中。

1番目のグループがひとしきりおかしなお題に振り回されて借り物を探しているのを楽しそうに見ている。

お題のなかにはベタに”好きな人”なんてものあって、女が真っ赤な顔をしながら一人の男の手を引いてゴールしている。

当然、周りは大騒ぎだ。


『それではゴールした順にお題と借り物が合っているか確認していきましょう!』


ゴールした後はそんなイベントまであるのか・・・。

”好きな人”っていうお題を引き当てた女が真っ赤な顔をさらに赤くしながら、


『あなたのお題の”好きな人”というのは3年2組の城田くんで間違いありませんか!?』


なんていうゲキレツに恥ずかしい質問に、意外にもはっきりした声で


『はい!』


と答えたもんだから、グラウンド中が盛り上がるわ盛り上がるわ。

いったいなんの競技だっつーの。
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