拗らせDKの偏った溺愛
俺は結構な覚悟をもって貴紀の質問に答えたつもりだ。
なのに貴紀ときたら
「ならいいよ。僕諦めるよ」
なんて抜かしやがる。
「はぁ?お前、そんないい加減な気持ちであいつが好きとか言ってたのかよ?」
俺が頭にきて貴紀の胸倉をつかむと、
「いや、まぁ・・ある意味いい加減だけど、いい加減じゃないっていうか」
とかなんとかごちゃごちゃ言い出した。
「なんなんだよ、お前!?わけわかんねー!」
ますます苛立ってそう言うと、
「やっぱりさ、竜也には僕がいなくちゃっだめってことだと思う」
胸倉をつかまれたままだっていうのに、さわやかな笑顔で返してきた。
「はぁ?さっぱりわけがわかんねー!」
イライラする俺を見ても全く動じない貴紀は、
「いいって、いいって。わかんなくて。ただ、僕に美咲ちゃんをくれないんだから、代わりにちょっとしたお願い聞いてよ」
なんて言ってくる。
「なんだよ」
一応聞いてみた。
「借り物競走の借り物として僕に借りられて?」
「はぁ?いや、待て、お前の借り物のお題って…」
「うん、あなたが独占したい人」
貴紀は、女が見たらうっとりするであろう笑顔で言ってのけた。