拗らせDKの偏った溺愛
その後はほんとうに大変だった。
嫌がる俺を無理やり引きずってゴールを目指す貴紀。
貴紀のお題がなにかは全校生徒に知られているから、もうわけのわからない悲鳴と歓声と応援まで入り混じって混沌としていた。
ゴール後は言わなくていいのに、係のやつがマイクを通して声高らかに
『虎谷くんのお題は独占したい人です!そして借りてきたのは、まさかの高村くん!さぁ、ここは我が校の有名人でもあるお二人にどういうことか聞いてみましよう!』
最悪だ…。
がっくりとうなだれる俺を横目に、ニコニコしながら貴紀が説明を始めた。
『僕は女の子を1人借りようと思ってたんですけど…竜也がじゃましてきたんで仕方なく』
『おっと、これはまさかの予想の逆です。虎谷くんが高村くんを、ということではなく、高村くんが虎谷くんと女の子を一緒にしたくなかったということか⁉︎高村くん、ほんとうのところはどうなんですか?』
〜〜〜!!!!!貴紀のやつ、またやりやがった!
クッソ~~、こうなりゃもうヤケだ!!
『こいつが俺のものを勝手に連れて行こうとしたから、止めただけだ!そしたら代わりに来いって言われて無理やり連れてこられただけ!』