拗らせDKの偏った溺愛


『俺のもの、とは、虎谷くんが連れて行こうとした女の子のことでしょうか?』


ちょっと驚いた顔で聞いてくるマイク野郎。

そいつと俺を交互に見て、今度はニヤニヤする貴紀。


『あー、そうだよ!くっそ〜、貴紀、お前また嵌めたな!』

『だって竜也がグズグズしてるからイライラしちゃって』


すました顔で言われて頭に血が上った俺は、ここが全校生徒の見守るグラウンドの真ん中だとか、話す声がマイクを通して響き渡っているとかってことを完全に忘れていた。


『それじゃ美咲のことが好きって言ったのは!?』

『嘘に決まってるじゃない』

『お前な~~~!!!』

『そういう竜也はどうなのさ?美咲ちゃんのことどう思ってるわけ?』


貴紀からの質問に答えようとして、やっと気づいた。

このやり取りを全校生徒と教師が固唾をのんで聞いているのを。

だからと言っていまさらやめるわけにもいかず。

だったら逆に利用するだけだ!


『あいつは俺のものなの!お前はもちろん、他の誰も手出すなよ!』


俺は高らかに宣言してやった。
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