拗らせDKの偏った溺愛
<俺>
散々探してやっとアイツを裏庭で見つけた。
気配を消して近づき背後から声をかけてみた。
相当驚いたんだろう、面白いくらい動揺しながら振り返った。
それから俺を見て、今度はめちゃくちゃびっくりした顔をしている。
ぷっ、ちょっと面白いかも。
あんまり動揺してあたふたしてるものだから、さっきまでの怒りが消えて面白くなってきた。
でも、そんなことは微塵も出さずに、怒ったふりのまま、低い声で俺を殴った理由を問い詰めた。
「俺、なんでお前に殴られなきゃいけないわけ?」
完全に俺が怒っていると思ってるアイツはさらに動揺して視線をあちこちに彷徨わせた。
「そっ、そ、それはっ!」
けど、そのまま何も言おうとしないから、おさまっていた怒りが少しずつ戻ってきた。
返事を迫る意味も込めて距離を詰めていくと、詰めた分、後ずさって逃れようとする。
その姿を見て、ますますイライラしてきた。
誰が逃がすかよ…。
納得いく答えを聞かせてもらうまで俺は諦めないからな。
そう思いながらさらにジリジリと追い詰めていく。
とうとうアイツの背中が校舎の壁について、本人も逃げ場がなくなったことに気づいたらしい。
それでも懲りずに逃げようとしているのが目の動きでわかった。
逃がさねぇっての。
ドン!
校舎の壁に思いっきり手をついて逃げ場をなくしてやった。
一瞬何が起こったかわかってなさそうだったから、
「俺を前にして逃げようなんて甘いんだよ」
と言ってやると、やっと状況を理解したらしく、怯えたような顔で俺を見上げてきた。