拗らせDKの偏った溺愛



けど、予想外なことに、アイツが俺を見上げる顔がヤバかった。


怯えているのか僅かながらに震える体。

少し見開かれた目はウルウルと潤んで俺のことをじっと見つめている。

俺がやったとはいえ、それを至近距離で見ることになってしまったせいで、絶対に違うとわかっていても…

誘っているように見えてくる。


はぁ〜、しっかりしろ、俺。


「で?返事は?」


無理やり思考回路を遮断して、当初の目的を果たそうと質問を続けた。


「あ、あのっ!あのっ!!」


どうやら必死で返事をしようとしているらしい。

ただ、顔はどんどん赤みを帯びていってるし、潤んだ目はさらに涙を浮かべていく。


「り、理由はっ、そのっ…」


緊張してんのか?

もしくは男がダメとか?


両手を胸の前で力一杯握りしめて震える姿と、たどたどしいながらも必死で言葉を紡ごうとしているのを見て、


もしそうだとしたら、ちょっと可哀想なことをしたかな…。


と同情しかけた時だった。


俺の一瞬の気の緩みを隙ができたと考えたのか、事もあろうにアイツは俺から逃げようとした。


ガッ!!


しゃがもうとしていたアイツの脚の間に、俺の膝を割り込ませる。


「へぇ…この期に及んでいい度胸してんじゃん?」


必然的にお互いの距離が更に近づいて、俺とアイツの鼻先がいまにも触れそうになった。


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