拗らせDKの偏った溺愛
「叩いたけど、それには理由はなくて俺は悪くないって感じで?」
「そ、そうです!!」
「ふーん…そんな説明でみんなが納得すると思う?」
「うっ、無理でしょうか…?」
「だろうな」
「で、ではどうすれば?」
「うーん、そうだなぁ…」
そう言って考えるように呟く高村くんですが、考えたか考えないかのタイミングで
「いいこと思いついたんだけど?」
と、今度は麗しい笑顔とともに言われてしまいました。
「いいこと?」
「そう、いいこと。まず、お前はこれから先ずっと俺の言うことに”はい”ってだけ言う。わかった?」
そんなことでいいのなら!
「は、はい!」
「じゃあ、契約成立ってことで…」
高村くんが思わずうっとりと見とれてしまいそうになる顔で笑ったかと思うと、次の瞬間、私の唇に柔らかくて温かなものが当たりました。
チュッ
その音とともに、私の視界を覆っていた高村くんの体が私からスッと離れました。
「俺のことはリュウでも竜也でもいいから名前で呼べよ?」
突然そんなことを言われましたが、私の頭はまだ先ほどの出来事を正常に処理できずにいましてですね…。
「おい、聞いてんのか?あ、そういやお前、名前は?」
「……」