拗らせDKの偏った溺愛
「た、高村くんっ!」
私が名前を呼ぶと、少し腰を屈めて私の耳元に顔を寄せてきました…。
「まだ俺のこと”高村くん”って呼ぶんだ?そんなに俺からのお仕置きが気に入った?」
私の耳元で悪魔の囁きが聞こえます!!
ついうっかり苗字で呼んでしまいましたが、そういえば”高村くん”と呼ぶのは禁止でした!
ハッ!!
ということは、またさっきみたいなお仕置きを!?
サッと彼から距離をとろうとしたら、教室の入り口で足が引っかかってしまい、後ろに倒れそうに…。
それを防ごうと反対の足を後ろに引いたのですが、その足が床を踏む前にグイッと私の体が引き寄せられました。
どこって…高村くんの方へ……。
「「「キャァ〜〜〜」」」
途端に教室からも廊下からも悲鳴のようなものが上がります。
「はぁ〜、危なっかしいやつだな…。助ける方の身にもなれっての」
呆れたような声で言われて情けないやら、この状況が恥ずかしすぎるやらで、私の顔が異常に熱くなってきました。
だって、体が、体が密着しています〜!
きっと、いま、顔が真っ赤になっているに違いありません!!
「か、重ね重ねすみませんでした…」
声も蚊の鳴くような声しか出ませんでした。
男の子とこんなに密着するのは初めてなんです、察してください…。
俯いたまま動けずにいると、顎に手をかけられて上を向くことに。
「「「「「ギャァ〜〜〜」」」」」
主に女子のみなさんの悲鳴が絶叫に近くなっています。
あぁ…私、無事に高校を卒業できるのでしょうか…。