拗らせDKの偏った溺愛


<美咲です>


あの後、私の頭にポンとその大きな手を置いた高村くんは、何もなかったかのように教室に入っていきました。


そして取り残された私の周りに、ドッと女の子達が押し寄せてきました。


「ちょっと!!リュウとどういう関係なの!?」


「ねぇねぇ!もしかして竜也と付き合ってるの!?」


「竜也くんって自分から女の子に声かけないって有名なんだよ?それなのに、さっきも今も、竜也くんからあなたに声かけてたよね!?」


ひぇ〜〜〜!!!


そんな一度に聞かれても、誰が何を言ってるかすらわかりません〜!


誰の質問にどう答えていいかわからずオロオロしていると、タイミング良くクラス担任の先生が教室に入ってきてくれたのです。

おかげで不服そうな顔をしながらも、みなさんが席へ戻ってくれました。

とりあえず助かりました。


それにしてもどうしてあんなことを?


『なーんてな。誰が許してやるかよ。思いっきりいじめてやるから、せいぜい耐えて俺を楽しませろ』


と言ってました。

あのセリフからすると、叩かれた腹いせにこれから私に嫌がらせをするということでしょうか?

それが高村くんの言っていた"いいこと"ということ?


しかも、先程の態度はどう考えても周りの皆さんが誤解するようなものです。

あれがワザとだとしたら…。

私が心底困るような状況がこれから彼によってドンドン作られていくということでしょうか…。


なんと意地悪な!!!


でも、言い換えると、そんなにも彼を怒らせてしまったということなんですよね。


後で綾乃ちゃんに相談に乗ってもらいましょう、私だけではとても乗り越えられそうにありません。

少しでも早く高村くんの怒りがおさまる方法を考えなくては…。





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