拗らせDKの偏った溺愛



それでもやっぱり、さっそく泣くのはカッコ悪いですよね…。

唇を噛み締めながら、ただただ、なすすべもないままポツンと1人立ち竦む私。

情けないことこの上ないですね。


自分が詰られているのをどこか遠くに聞きながら、ボンヤリとしていました。


そのとても騒がしい教室の中から、不思議とよく通る声が聞こえてきました。


「じゃあ、俺がやる」


へっ!?


ゆっくりと声のした方に顔を向けると、ダルそうに椅子に腰掛ける高村くんが、こちらを睨むように見ています。

もちろん教室は一気に静かになりました。


「誰もやらねぇなら、俺がやってやるよ、副委員長」


高村くんがもう一度そう言った途端、女子のみなさんが色めき立ちました。


「えっ、リュウくんが副委員長やるなら、私が委員長やる〜」


「あんたさっき図書委員が楽だからって、図書委員に決まったでしょ!?」


「そっちこそ、委員長だけはゴメンだって言ってなかった!?」


先程までが嘘のように委員長をやりたいという女子が続出です。


高村くんの人気って本当にすごいんですね!


これなら私、委員長をやらなくても済むかも!と思ったのですが、ちょっと甘かったみたいです。


「うるせーぞ。委員長はもう決まってるだろ」


高村くんのこの言葉に反論する人なんて、もちろんいませんでした。




こうして私が委員長、高村くんが副委員長に決まったのでした。



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