拗らせDKの偏った溺愛
<美咲です>
長かったHRもやっと終わりました。
「綾乃ちゃん!」
私が駆け寄ると、
「美咲!ゴメンね!美咲のこと助けたかったのに全然役に立てなかった…」
眉を下げて申し訳なさそうな顔をした綾乃ちゃんが私のことを見上げています。
「綾乃ちゃん、そんなことないですよ?ちゃんと私のために声を上げてくれたじゃないですか!嬉しかったです」
「美咲〜」
二人で手を取り合っていたのですが、思い出しました!
「そうだ!綾乃ちゃんに相談したいことがあったんです。この後、時間ありますか?」
「相談?もちろん美咲の頼みだもん、今すぐにでも聞いてあげたいんだけど…」
綾乃ちゃんが徐々に目線を下げてしまいました。
「綾乃ちゃん?」
「今日、このあと部活なんだ。春休みの大会で結構いいところまでいったから、みんな気合い入ってて。始業式終わったあとも、お昼ご飯持参で練習することになってるの」
なるほど。
もちろん、私のために部活を休ませるわけにはいけません。
「そっか、それは行かなくちゃいけませんね。大丈夫!今すぐでなくても大丈夫ですから」
わざと元気よく言うと、
「ほんとう?じゃあ、明日のお昼休みとかはどう?」
綾乃ちゃんがホッとしたように言ってくれたので、良かったです。
「ぜひ!」
笑顔で答えると、綾乃ちゃんも笑顔で頷いてくれました。
隣のクラスにいるサッカー部の方に声をかけに行く、という綾乃ちゃんとは教室で別れました。
そのまままっすぐ帰宅しようとしたのですが…。