拗らせDKの偏った溺愛
通っている学校の中では割と平和に過ごせていたし、家や溜まり場はゲームか雑誌や漫画本がいつも転がっていたから、そこそこ暇は潰せた。
でも、あまりにも平和すぎて刺激がないっつーか…。
喧嘩は殴った手とかが何気に痛いし、常に無傷ってわけにいかないから、自分からはしたくない。
かと言って女遊びは金もいるし、後々面倒くさいことが多いから最近は気乗りしない。
それに、シたくなったら割り切って相手してくれるやつが何人かいるから問題ない。
となるとやることがないっつーか、おもしろいことがないっつーか。
「あーあ、なんか刺激のある、おもしろいことねぇかな〜」
溜まり場でゴロゴロしながら思わず呟いた俺の言葉を、小学校からの親友でもある貴紀(たかのり)が聞いていたらしい。
口元に小さな笑みを浮かべながら、
「出たよ、竜也のおもしろいこと探し」
なんてからかってきた。
貴紀はこんな掃き溜めみたいな溜まり場が全く似合わない、中性的な容姿のイケメンだ。
全体的に色素が薄いのか、サラサラの茶髪は地毛だ。
少し伸ばした髪は色白の肌により映えて、その顔立ちをさらに色っぽくさせている。
だから、例えば教室なんかでこいつが勉強に勤しんでいようものなら…居合わせた女どもがうっとりとした顔で、こいつを見つめているのをよく見かける。
当然よくモテてるんだが、今は女よりバイクに夢中という、同じ溜まり場仲間のミツ(本名:三本幸雄)からすれば贅沢すぎる状況だとか。
ただ、ミツによれば俺も相当目立つらしい。
「だから喧嘩ばっかふっかけられるのかよ…」
ってボヤいたら、
「お前、まさかの天然かよ!!」
と本気でキレられた。
どうやら俺が女からキャーキャー騒がれていることを言っていたらしい。
まぁ、確かに身長も180cmは超えてるし、髪はアッシュグレー?シルバー?に染めてるから地味ではないか。
だけど、女が絡むとだいたい最後はちょっと…いや大分うざいことになる確率が高いから、俺から女に声をかけるとか、よっぽどじゃないとないな。