拗らせDKの偏った溺愛



残り10分もサラッと過ぎてお昼休みになりました。

お昼休み独特の雰囲気の中、いつも通り綾乃ちゃんと向かい合ってお弁当を広げ、食べ始めた時でした。


ガラガラ!


割と勢い良く教室のドアが開きました。


私がふっと顔上げるのと同時に、教室の中がワッと盛り上がりました。

それはそうです、始業式の日以来ずっと姿を見せていなかった虎谷君の姿がそこにあったからです。

みんながうれしそうに


「おはよう!」


とか


「遅いよー」


と声をかけています。


虎谷くんもにこやかに


「久しぶり」


なんて言いながら教室に入ってきています。


そしてその後から虎谷くんとは反対に愛想笑いのひとつもなく高村くんが入ってきました。


高村くんの姿を見て一瞬どきっとしてしまいました。

何か言われるんじゃないか、何かされるんじゃないかと思ってしまって体中に緊張が走ります。


でも、特にこちらを見るそぶりもなく…。


ホッとしました!


なので、なるべく平静を装って何食わぬ顔で食事を再開しました。



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