拗らせDKの偏った溺愛
人生、そんなに都合の良いことばかりではないってことですね。
ゴクッ…
背中を冷や汗が流れ、喉は勝手に鳴ってしまっています。
次に何が起こるのか、何を言われるか……。
蛇に睨まれたカエルのごとく、高村くんにヒタと目を合わせられたまま硬直です。
そんな私の様子を見て満足気にニッと口角を上げると、おもむろにご自分の財布を私に渡してきました。
「昼飯、何でもいいから買ってきて。金はそこから出せばいいから。あ、飲み物もな」
そう言うと、今度こそ、ご自分の席へと行ってしまわれましたよ?
…
……
………???
お、お昼ご飯?
私が高村くんのお昼ご飯を買って来るんですか?
「ちょ、ちょっと、美咲!」
ボケっと高村くんの背の高い後ろ姿を見ていると、綾乃ちゃんが焦ったように声をかけてきました。