拗らせDKの偏った溺愛
「は、はい?」
慌てて高村くんの背中から綾乃ちゃんの顔へと視線を戻しました。
「念のために聞くけど、美咲とリュウくんって付き合ったりしてるわけじゃないよね?」
「なっ!綾乃ちゃん、なんて恐ろしいことを言うんですか!?そんなこと天地がひっくり返ってもあり得ませんよ!」
綾乃ちゃんがあまりにもあり得ないことを言うので、やや大きな声で思いっきり否定してしまいました。
小さく深呼吸して気持ちを落ち着けてから、
「…というか、高村くんと私の関係がなんなのかなんて、私が聞きたいくらいです」
というと、
「そ、そっか…。まぁ、そうだろうねぇ…」
綾乃ちゃんは苦笑いを浮かべていました。
「綾乃ちゃん、私は高村くんのお昼ご飯を買いに行かないとダメでしょうか?」
私の手にある高村くんの黒いお財布を見つめながら聞くと、
「あー、だね。もし行かなかったら…」
「もし行かなかったら…?」
綾乃ちゃんの言葉を待つ私に緊張が走ります。