拗らせDKの偏った溺愛
「行かなかったら…それはもちろん、お仕置きされちゃうんじゃない?」
ニンマリと悪魔のような笑みを浮かべた綾乃ちゃんの言葉は、なるべく思い出さないようにしていたことを思い出させるのには十分でした。
「ヒッ!!で、ですよね… 」
少しでも思い出すと、いまだに体中が熱くなるくらい恥ずかしいんです!
「大丈夫だよ、今から売店に行けばまだ何か食べるものあるだろうし。私、お弁当食べずに待っててあげるから、ね!」
ニコッとかわいい笑顔に戻った綾乃ちゃんに励まされて、私はヨロヨロと立ち上がりました。
「でもさぁ、そう考えると、リュウくんが美咲にお昼ご飯買って来いって言ったのは"いじめてやる"の一環ってこと?」
可愛く私を見上げている綾乃ちゃんに言われて気づきました。
「ハッ、そうですね。そう考えると納得です。きっと私はパシリというやつに任命されたんですね!」
「いやいや、パシリに任命って…」
「それで高村くんの気が済むならお安い御用ですよね!?綾乃ちゃん、私、行ってきます!」
藤原美咲、渡された黒い財布を失くさないようしっかりと握りしめて売店を目指します!
「…美咲が超鈍感なことは知ってるから、さっきのリュウくんの表情を見て何も思わないのはわかるけど。リュウくんは本当に美咲のことパシリだと思ってるのかな?
すっごく嬉しそうな顔してたし。なんだか好きな女の子をいじめる小学生男子みたいに見えたのは気のせい…?」
残念ながら綾乃ちゃんの呟きは私の耳に届きませんでした。