拗らせDKの偏った溺愛



「綾乃ちゃんが残念がっている理由はそこでしたか」


ちょっと呆れてしまいました。

綾乃ちゃんはどうしても高村くんが私を気に入っているということにしたかったようですが、はっきりと”下僕”と言われてしまっているのです。

高村くんにとって私はただの下僕だということが確定です。


「綾乃ちゃんの期待にお応えできず申し訳ありませんが、私としてはある意味ホッとしています」


「え〜、なににホッとするのよ?」


小さく口を尖らせながら言う姿も可愛い綾乃ちゃん。


「このまま下僕を精一杯努めれば、いつの日か高村くんに許してもらえるんです。変にいじめられたり陰口を言われる心配もないとわかった今、ホッとするに決まってるじゃないですか!!」


満面の笑みで言うと、


「ただの下僕なんて面白くな〜い!!美咲とリュウくんがそういう関係になってめくるめく甘〜い毎日を送るとか…」


「そんなことが起こる可能性は1%だってないですよ、綾乃ちゃん…」


「も〜〜〜〜!!!つまんない!!」


勝手に残念がって勝手に怒り出した綾乃ちゃんはちっとも怖くなくて可愛いだけですけどね。


でも、本当にこれでひっぱたいてしまったことを許してもらえるんでしたら私は甘んじてその役目を引き受けることにしたいと思います。

逆に、きちんと私を自分の下僕だと、クラスの…特に女の子たちに言ってくれたおかげで私は意地悪されずに済んでいる気がします。

もし、ちゃんとそこまで考えて言ったんだとしたら…彼は意外といい人なのかもしれません。


そう思うと気持ちがとても明るくなりました!



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