拗らせDKの偏った溺愛
〈竜也〉
始業式の日は、なんかやたらと疲れた。
絶対に貴紀に嵌められたせいだ。
あの後は、ちょうど3年の女の先輩と会って。
誘われたから、憂さ晴らしも兼ねて夜までベッドの上で楽しんだ。
先輩は俺が寝てる間に勝手に帰ったらしく、翌朝、貴紀に起こされるまで俺は熟睡してた。
ただ、寝不足だったから、始業式の翌日は今までの習慣みたいな感じで学校をサボった。
貴紀も俺に付き合って学校に行かずにダラダラしてたしな。
でも、サボりも3日目になるとだんだん飽きてきた。
「あー、なんか面白いことないかなー」
と思わず呟いた俺に、貴紀が
「あれ、竜也、面白そうな子を見つけたんじゃなかった?」
って言われて3日ぶりに思い出した美咲の顔。
というか、思い出してないフリをしてたというのが正しいな。
3年の先輩を抱いてても、何気に美咲の顔がチラつくからイラッとして…。
俺があんな地味子を気にかけるとかナイナイ!!
自分にそう言い聞かせて美咲のことを頭から無理矢理振り切ったから。
「竜也ってば新学期初日に楽しそうな顔してたのに、次の日から学校に行かないからどうしたのかと思ってたけど…」
貴紀が少し目を細めながら俺を見てくる。
「僕の勘違いで、実はあの子のことどうでもいいと思ってるのかと思ってたけど…。今の竜也の反応からすると気にはかけてたんだ?」
確信を持って問われたら嘘をつくわけにもいかず。
こういう時、幼なじみは面倒なんだ。
「まぁ、ちょっと…」
言葉を濁しながら答えると、
「はぁ」
とため息をついてから
「今からでも学校に行けば、楽しいんことあるんじゃないの?」
と言ってきた。