拗らせDKの偏った溺愛
その視界に入ることすら畏れ多いレベルのキラキラしたお二人から、
「美咲ちゃん、今日も竜也のためにお疲れさま。お駄賃にこれあげる」
「貴紀、下僕を甘やかすんじゃねー。コイツにイチゴミルクのジュースなんて贅沢なんだよ。お前にはこれくらいがちょうどいいよな?」
と、右手にイチゴミルク、左手に可愛い包みのキャンディーをもらってしまいました。
「あ、ありがとうございます!」
嬉しくって満面の笑みで感謝の意をお伝えしました。
虎谷くんは
「いえいえ、どういたしまして」
と優しく微笑んでくださいましたが、高村くんは
「ふん」
と言ってそっぽを向いてしまいました。
でも、その横顔がほんのり赤い気がします。
「それさ、駅前にある女の子たちに人気の雑貨屋さんにしか売ってないんだよ?」
高村くんからいただいたキャンディーの包みを指差しながら、私の耳元でこっそりと囁いたのは虎谷くんです。
ということは、わざわざ私のために高村くんが買ってきてくださったということでしょうか…?
でも、駅前にある雑貨屋さんは私の知る限り1つだけです。
小物やアクセサリーの販売だけでなく、それらを作る材料も置いてある、かなり品揃えの良いお店です。
ただ、それ故に人気もあり、いつ行っても幅広い年齢層の女性でいっぱいです。
そんなお店に高村くんが行くなんて意外です。
もしかすると、時々カップルで来ている方々を見かけますから、高村くんも彼女さんと立ち寄ったのかもしれませんね。
もしそうだとしても、あのお店でこの可愛いキャンディを高村くんが購入する姿は…想像が全くつかないです。
なんだか胸の辺りがほわんと温かくなると同時に恥ずかしいような照れ臭いような…。
高村くんに負けないくらい顔が赤くなってる気がして慌てて綾乃ちゃんのところへ戻りました。