拗らせDKの偏った溺愛
"東のリュウ"はどうやら勝手につけられた俺の通り名らしい。
ちなみに"西のトラ"が貴紀だったりする。
理由は貴紀の名前が虎谷貴紀だから。
2人でつるんで喧嘩し過ぎた結果、俺たちの名前に竜と虎があるのを使って誰かが通り名をつけたんだろうな…。
「その名前で呼ぶのやめてください…」
俺が力なく言うと、金子先輩は薄笑いをやめた。
「じゃあ、せっかくだし今から出かけるか」
「やった!」
俺は意気揚々と立ち上がった。
「竜也…」
珍しく貴紀が眉を寄せて俺を見上げている。
多分、金子先輩がちょっとタチの悪い系だから、こいつなりに俺を心配しているんだろう。
「ちょっと行ってくるだけだから」
もし金子先輩が無茶を言い出したら、適当に切り上げて帰ってくればいいんだし。
大して義理立てするような関係でもないしな。
なんて軽く考えた俺は"心配するな"って意味を込めてを貴紀の肩を軽く叩いてから溜まり場を出た。