拗らせDKの偏った溺愛


<竜也ですけど、なにか?>



毎日俺のために昼飯を買いに行く美咲。

そんな日常が定着しつつあった、ある日の放課後。


駅前を歩いていたら女で溢れている店があった。

その中にチラホラ混じるカップルの姿。

どうやらデート中に立ち寄っているらしい。


「うへぇ、俺あーゆーの無理だわ」


思わず声に出して言ったら、隣を歩いてた貴紀も雑貨屋に目を向けた。


「あぁ。あの雑貨屋さん、女の子にすごく人気らしいね」


俺と違って女たちとも良好な関係を保っている貴紀は、そういう情報にも詳しいらしい。


「だとしても、なにが悲しくて女に付き添ってあんな店に行かなきゃなんねーんだよ…」


心底理解できずに言うと、


「竜也って、モテるくせにデートとかほとんどしないもんね」


「デートとか…必要性を全く感じねー」


「そういうとこ、意外とお子ちゃまだよね」


「なんか言ったか?」


上手く聞き取れずに聞くと、貴紀はシレッとした顔でとんでもないことを言い出した。


「ん?なんにも。それよりあのお店にちょっと寄ってみない?」


「はぁ!?お前頭おかしくなったのか?」


俺は思いっきり嫌がったけど、貴紀に無理矢理引きずられて店に足を踏み入れてしまった。


「貴紀〜、頼むから早く出ようぜ!」


俺の腕は貴紀に引っ張られて店の奥へと向いてるが、足は最初から出口を向いたままだ。

それをわかっているくせに誘った時同様シレッとした顔のまま店内を歩き回る貴紀。


「あ、見て。これなんか美咲ちゃんに似合うと思わない?」


おまけに何を考えてるのか、貴紀はアクセサリーや小物なんかが置いてあるコーナーへ。

コイツ本気で頭おかしくなったんじゃねーの?




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