拗らせDKの偏った溺愛
そ・れ・に!!
ちょっとは周りを見ろ!
普段、周りを気にしない俺ですら気になるくらい見られてるっつーの!!
それも、生暖かい目で…。
男二人がこんな店の、しかもアクセサリーとか見てるって。
ハッ!
まさか変な関係とか思われてるんじゃねーだろうな!?
「竜也?面白いからいいんだけど、心の声がダダ漏れだからね?」
「なっ!?」
「とりあえず、僕らがそういう関係かもってとこまで妄想しちゃう女の子がいることを否定はしないけど」
「いや、そこは否定しろって!!」
もう何にこんなに焦ってるかわかんねーけど!!
今日の貴紀は明らかにオカシイ…!
「周りの人たちは、僕たちが彼女へのプレゼントを探しに来たんだろうくらいに思ってるだけだろうから。とりあえず落ち着きなよ」
「そ、それならまぁ…って彼女って誰の?」
「実際は彼女じゃないけどさ。例えば竜也のお気に入りの美咲ちゃんに、とか?」
今度はもう『はぁ?』とも言えなかった。
まさしく絶句ってやつだ。
「竜也ってば、始業式の日にビンタくらったからって美咲ちゃんに意地悪し始めたけど…」
そこまで言ったくせに貴紀はワザと沈黙した。
俺が"だからなんだよ!?"って顔で睨むと、今度は意味深な流し目をする。
「………」
「だーっ!だからなんだっつーの!!」
沈黙の攻撃に耐え切れずに声を上げると、
「はぁ…」
と、今度は溜め息をついた挙句にヤレヤレという顔をされた。