拗らせDKの偏った溺愛
「〜〜〜!!だから!言いたいことがあるならハッキリ言えよっ!」
さすがの俺もブチ切れそうになったのを見て、ようやく貴紀が話し出した。
「僕が言いたいのはさ、竜也が美咲ちゃんにビンタされたことを怒るのはお門違いじゃないかってこと。
そりゃあ、僕も当初は知らなかったから竜也が怒るのも多少はしょうがないと思ったよ?
でもね…」
ようやくこの後、貴紀がなにを言いたいのか察しがついた。
今朝、ダラダラ登校しながら、例のひったくりのターゲットが美咲だったことと、その時に起こった出来事の詳細をやっと話したからな…。
「いくら竜也が本気じゃなかったとはいえ、狙われた彼女にしたらきっと怖い思いをしたと思うよ?おまけにメガネは踏んづけて壊すし。それなのに彼女は竜也が怪我しないよう身を投げ出してくれたんでしょ?
それを…ちょっと頬を叩かれたくらいで下僕にするとか…」
咎めるように軽く睨まれては返す言葉もない。
「うっ…じゃあ下僕扱いをやめればいいんだろ!?」
やっとのことでそう言えば、
「えっ、まさか、それでチャラになるとでも…?」
そんな、ありえないものを見る目で言われても…。
「俺にどうしろってんだよ!!??」
とうとう言いたくなかった言葉を言えば、貴紀が満足気な顔をした。