拗らせDKの偏った溺愛
このおさげ頭…。
「美咲」
俺が名前を呼ぶと、俺の前に座った女…美咲の肩が小さく跳ねた。
ってことは俺の声が聞こえてるはずなのに、こいつ振り向かねーし。
俺が呼んでるってのにいい度胸してんじゃん?
軽くイラっとして、目の前のおさげを片方、ぐっと引っ張った。
すると、恐る恐る…といった感じでこちらを振り向く美咲。
「お前、いつから俺のこと無視できるほど偉くなったんだよ?」
自分でも嘘くさいと思うくらいの笑顔を浮かべて言ってやると、
「た、高村くんを無視するなど……滅相もございません!」
って。
おいおい、ツッコミどころ満載じゃねーか?その返事。
さーて、どこから攻めようかな…。
ってか、いいねぇコレ。
これから毎日この距離で四六時中コイツのことイジメられるってことだろ?
席替えもたまにはいいもんだな。
小さなワクワクが胸の中に湧いてくるのを感じながら、次の言葉を考えるのが楽しくなってきた俺を、周りのやつらがどんな目で見てるかなんて、知らねっての。
(((……竜也くんがすっごく楽しそうに笑ってる!!超レア!!)))
(((あのキラキラの笑顔、ずっと見ときたいよ〜〜〜)))