クリスマスイヴを後輩と

年齢と共に小さなプライドがいくつも生まれてしまい、弱いのに強がりで、寂しいのに寂しいと言えない人になってしまった。

会話をしながら買い物ができる商店街は、そんな私の心に、春の日溜まりをくれた。

人間関係が希薄な都会という仕切られた箱のなかで繋がっていられることが嬉しい。

お気に入りは小さなパン屋さん。仕事帰りにクロワッサンを買って、翌日の朝食にするのが私の細やかな楽しみ。

八百屋のおじさんはいつも元気で、野菜の食べ方を教えてくれたり、時々、本当のお父さんみたいに励ましてくれる。しかも、千円で一回分もらえる抽選券を毎年おまけして、千円で五回分もくれるのだ。

その抽選券を持って、いざ、回転式抽選器の前へ。

「未華子ちゃん、頑張ってね」

今年の担当は魚屋のおばさん。

「はいっ、頑張ります」