こんな男に誰がした!
一目惚れ
俺は、彼女に一目惚れをした。
彼女の笑顔は、温かく柔らかい空気を作りだしていた。
さらさらの髪は、5月の風を受けて、彼女の肩からこぼれ落ちて、彼女の手が自然にかきあげている。
サーモンピンクのドレスは、たっぷりのドレープが施され、彼女のふわりとした雰囲気にあっている。
背がすらっと高く、ドレスのドレープに隠れているが、割りと胸はありそうだ。
その日、俺は、行きたくもないパーティーに行く羽目になった。
大学に入ってから、パーティーに出席することが増えたが、いずれは父の後を継いで会社を任される身だから、仕方がない。
俺の代で、創業150年を超える会社を潰すわけにはいかない。
俺の肩に、社員2200人と、その家族の生活がかかっているのだ。
今朝、父から急に、
「今夜はパーティーがある。一緒に行くからな。」
否とは、言わせない語調だった。
俺のパーティー嫌いを知っているからだ。
俺だって、会社に入ったなら、関係を大事にしなければならないと、覚悟を決めてパーティーに臨むのに、学生の内から、どうして行かなければならないのかと、反発してしまうのは仕方がないだろう。
きっと、どこそこの令嬢たちとの顔合わせに決まっている。
いずれ会社の利益を考えた結婚話が来ることは、わかっている。だが、まだ決めたくはない。