こんな男に誰がした!
飲み物を買い、ペアシートにすわると、
「どういうお友達?」
「モデル時代の友達。」
俺は、モデル時代の話題を避けていたのに、ここで話をしたくないと思った。
「モデル名は、誰がつけたの?」
「叔母だよ。父さんの妹。本人も元モデルで、今はモデル事務所をやっているけど。そこでバイトしてた。」
「だから、モデルだったのね。てっきりスカウトされたのかなって思ってた。」
「昔の俺はスカウトされるような要素、なかったしね。」
「でも、背が高くて、もてそうだったよ。」
「いつの話?」
「昨年、出会った時の話だよ。」
「ヘェ、そんな風に見られていたんだ。」
「あのパーティーでは、あなたが一番有望株だったのよ。あなた知らなかったでしょう。参加していた女性は、みんなあなたに話しかけてもらいたがってたわ。」
「君は違ったわけだ。」
「私ね白状すると、あなたのことちょっと気になっては、いたのよ。でも、みんなが狙っているから、自分は違うぞって反発して、あんなことを言ってしまったの。」
「じゃ、理想の和兄さんの話は?」
「あれも、一番身近な名前をパッと思い付いて、気がついたら口にしていたの。」
「おれは、なんのために、1年間頑張ったんだ?」
「本当に、ごめんなさい。」
弥生から真相を聞き、唖然としてしまった。
「どうして、話してくれたの?そのまま黙っていることもできただろ?」
「だって、あなたと言う人が、とても真面目で、しっかりとしているって感じたから、私も、ちゃんと向き合おうと思ったの。」