こんな男に誰がした!


俺は大学3年、見た目は普通。

眼鏡をかけているから、真面目なインテリっぽくみられがちだ。

しかし、自分でも真面目だとは思うが、積極的に話したり (特に女性と) 、関わりを持つのが苦手な方だ。

まあ、背が185㎝あるから、それだけでポイントは、結構高いらしい。

中学、高校と、告白されたことも数回あるが、何故か好みに合わず、すべて断っている。

好きでもない子と付き合うほど、時間の無駄はない。

だから、まだ女性と付き合ったことがない。だから当然、経験したこともない。

今どき、遅いと思わなくもないが、まだいいかなあと、本人は呑気だ。



しかし、彼女を見つけた。

誰だろう?

会社関係だから、どこかのお嬢様なのだろう。

父に、知られないようにそっと離れ、彼女のほうに近づいた。

丁度、一緒にいた子が化粧室に行くのか、会場から、出て行った。

俺は、チャンスとばかりに、彼女に話かけた。

今までの俺なら、有り得ないことだ。

しかし、ここで動かなければ、彼女を手に入れることができないのは、確かだ。

「はじめまして。俺は、大城浩輝 (おおしろこうき)。君の名前は?」

彼女は、大きな瞳をさらに大きくし、じっと俺を見ている。

「えっと、俺は、」
「あっ、ごめんなさい。ちょっとびっくりして。」

直ぐに、先ほどの優しい笑顔を向けてくれ、

「私は、花園弥生。よろしくね。」

「花園? ああ、もしかしたら花園ホテルの?」

「その通りよ。あなたは、大城酒造カンパニーの御曹司よね。」

彼女は、花園ホテルの令嬢だった。

後から知ったが、大学2年、ひとつ年下だ。


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