こんな男に誰がした!
外に出ないほうが、いいのだろうが、俺は、どうしても、弥生に会って話をしたかった。
どこにマスコミがいるかわからないから、会社に行った日、帰りは変装して会社をタクシー出て、花園ホテルのスイートで会うことにした。
花園ホテルのほうが、なにかと無理が聞くからだが、まさか、そこに弥生の両親まで来ているのなんて、俺は、思わなかった。
部屋に入り、弥生と両親を見て、言葉をなくした。
「浩輝くん、まあ、掛けてくれ。」
俺は一旦ソファーに掛けたが、直ぐに立ち上がり、そして彼らに向かって土下座をした。
「このたびは、ご不快な思いをおかけして、本当に申し訳ありませんでした。」
そんな俺を見て、弥生の父は、
「いや、浩輝くんを疑う訳ではないが、あれだけ大きく取り挙げられると、心配にもなるだろ。」
「はい、本日は、きちんと説明をさせていただきたいと、思います。」
「まずは、座って、話そう。」
俺は、弥生と付き合う前にさやかさんと付き合っていたこと、でも、弥生と見合いをする前にきちんと別れていたこと、さやかさんは妊娠ではなく子宮がんであること、遅くとも2週間後には、誤報だと言う記者会見を開くこと、を正直に説明した。
その間、弥生がどんな表情で聞いていたか、気になってはいたが、目を見る勇気は、なかった。
説明が終わり、後は、弥生たちの出す判断に委ねるしかない。
俺は、まるで、判決を待つ犯罪者のような面持ちでいた。